紫外線は、肌のシミやしわ、たるみといった老化の大きな要因として知られています。日焼け止めなど外側からの対策は一般的ですが、今回紹介する研究は食事という内側からの予防に注目しています。
この研究では、ブロッコリー、キュウリ、ケール、トマト、ニンジンといった野菜に含まれる成分が、紫外線によるダメージをやわらげる可能性についてまとめられています。これらの野菜に含まれる色素成分や抗酸化成分は、紫外線で生じる肌の赤みや酸化ストレスを軽減し、アンチエイジングにつながる働きを持つことが示唆されています。
Vegetable as a Source of Bioactive Compounds with Photoprotective Properties: Implication in the Aging Process
(PubMed Central掲載論文)
もちろん、野菜だけで紫外線対策が完結するわけではありません。それでも、日常の食事に自然に取り入れられる点は魅力であり、日々の紫外線ケアにも活用できる選択肢になりそうです。
この記事では、この研究がどのような内容なのか、そしてそれぞれの野菜にどのような特徴があるのかをわかりやすく解説していきます。
研究の概要
今回取り上げるのは、これまでに行われてきた野菜と紫外線への影響に関する複数の研究をまとめて整理した論文です。ブロッコリー、キュウリ、ケール、トマト、ニンジンといった野菜に含まれる成分が、紫外線による肌ダメージや老化とどのように関わっているのかが主なテーマとなっています。
紫外線が肌に与える影響として、しみやしわ、たるみといった見た目の変化だけでなく、コラーゲンの劣化や酸化ストレス、DNAの傷つき、炎症反応など、さまざまなダメージにつながることがあげられます。これらのダメージを軽減するために、日焼け止めや衣類など外側からの対策に加えて、「食事から得られる成分が、体の内側からどこまでサポートできるのか」という視点で、これまでの研究結果が集められています。
特に重点的に取り上げられているのが、ブロッコリーに含まれるスルフォラファン、トマトのリコピン、ニンジンのβカロテン、ケールなどに含まれる色素成分やポリフェノールといった成分です。これらの成分が、紫外線で起こる肌の赤みや炎症、酸化ストレスを和らげたり、細胞の防御力を高めたりする可能性があると報告した研究が紹介されています。
一方で、この論文は「野菜を食べれば紫外線のダメージを完全に防ぐことができる」といった結論を出しているわけではありません。紹介されている研究の数には限りがあり、試験で使われた量や条件が、日常生活とは異なる場合もあります。特定の野菜に含まれる成分が紫外線によるダメージを和らげる可能性があるとしつつも、さらなる研究の積み重ねが必要という点もあわせて示されています。
野菜に含まれる成分が、紫外線によるダメージをやわらげる可能性
ここからは、論文の中で紹介されている具体的なデータをいくつか取り上げながら、野菜に含まれる成分がどのように紫外線によるダメージをやわらげているのかを見ていきます。
ブロッコリーでは、「スルフォラファン」という成分が注目されています。ブロッコリースプラウトなどからとれるスルフォラファンには、体内の防御システムを強化する働きがあり、紫外線で増える活性酸素から細胞を守る役割があるとされています。人の肌にブロッコリー由来の成分を塗布・摂取した研究では、紫外線を当てたときの赤みや炎症が少なくなったという報告があり、光によるダメージ全般を弱める可能性が示されています。
また、主にマウスを用いた実験(ブロッコリー由来の成分の塗布や飼料への添加)では、腫瘍の数や大きさが減ったという結果も示されました。
キュウリについては、伝統医学の文脈で皮膚のケアに用いられてきたことや、外用すると冷却・鎮静に役立つ可能性が紹介されています。研究においては、キュウリの種や皮、葉から抽出した成分には抗酸化作用や光保護作用があることが報告されており、メラニンの合成を抑える可能性も示されています。
緑の野菜では、ケールに含まれる「カロテノイド」が注目されています。強力な抗酸化作用を持つことで知られるカロテノイドを豊富に含むケールの天然抽出物をとり続けることで、加齢に伴うコラーゲンの低下が抑えられたという結果が示されています。コラーゲンは肌のハリを支える重要な土台なので、その劣化がゆるやかになることは、長期的な肌の見た目にも関わってきます。
体に良い野菜として取り上げられることも多いトマトでは、トマトに含まれる「リコピン」が着目されています。ある研究では、トマトペーストを毎日食べてもらい、その後に紫外線を当てたときの肌の赤みの変化が調べられました。40gのトマトペースト(リコピン16mgを含む)をオリーブオイルと一緒に一定期間とったグループでは、オリーブオイルのみをとっていたグループと比べて、10週間後の時点で紫外線による赤み(紅斑)に対する防御が約40%高かったと報告されています。完全に日焼けしなくなるわけではありませんが、同じ量の紫外線を浴びても、肌の反応が穏やかになっていたという結果です。
ニンジンに多いβカロテンについては、紫外線によって起こる脂質の酸化(いわゆる「サビつき」のような反応)を抑える働きがあることが、動物実験などで示されています。継続的にβカロテンを含む食事をとったマウスの皮膚は、紫外線にさらされたときのダメージが少なかったという結果も報告されています。
このように、野菜ごとに含まれる成分や研究のやり方は異なりますが、共通しているのは「紫外線を浴びたときのダメージが、何もとっていない場合より穏やかになる」という点です。論文は、こうした複数の研究結果をもとに、野菜に含まれる成分が紫外線によるダメージをいくらかやわらげる可能性があるとまとめています。
紫外線対策に、日焼け止めだけでなく「野菜」という選択肢も
今回の論文は、身近な野菜に含まれる成分が、紫外線によるダメージをいくらか和らげる可能性を示した研究を整理したものでした。日焼け止めのようにすぐに効果が実感できるものではありませんが、一定期間とり続けることで、紫外線を浴びたときの肌の赤みや炎症、コラーゲンの低下などが穏やかになり、アンチエイジングにもつながる可能性が示されています。
日々の食事の中で、本記事で紹介したようなブロッコリーやキュウリ、ケール、トマト、ニンジンといった野菜を意識的に取り入れてみることは、肌のケアにつながる選択肢の一つになりそうです。紫外線対策=日焼け止めだけ、という発想に加えて、「野菜による内側からの紫外線ケア」という視点を持ってみると、毎日の食卓が少し違って見えてくるかもしれません。











