断続的断食(インターミッテントファスティング)は、「食べない時間(または日)」をあえて作る食事法です。近年ではダイエットや健康法の一つとして注目を集めていますが、断続的断食と「毎日のカロリー制限」のどちらがより痩せやすいかについて気になるという方も多いのではないでしょうか。
今回取り上げる論文は、2011〜2022年に発表された断続的断食に関する「システマティックレビュー(複数研究をまとめたレビュー)」をまとめ直し、体重や体脂肪の変化を中心に整理したものです。
Metabolic changes with intermittent fasting
(PubMed Central掲載論文)
この論文の結論として、断続的断食は体重減少において、一般的なカロリー制限と同程度であることが多い一方、体脂肪については「自由に食べる場合」より減りやすい傾向が示されています。
さらに、最近のレビューでは、体脂肪の減少で断続的断食がカロリー制限を上回った可能性にも触れています。
この記事では、この論文の整理に沿って、断続的断食が「カロリー制限」と比べたとき、体重と体脂肪にどんな違いが出やすいのかをわかりやすく解説します。
この論文における「断続的断食」と、比較の前提
断続的断食は「食べない時間(または日)」を設けてのカロリー制限
この論文では、断続的断食を「ずっと食事量を減らす」のではなく、一定の時間(または日)に食事をとらない時間を設ける食事法のであり、結果としてエネルギー摂取が減る場合があるとしています。
断続的断食の代表的な形は3つ
論文では、断続的断食にはいくつかの型があるとして、主に次の3つを挙げています。
- 時間制限食(time restricted eating):1日のうち「食べない時間」を3〜21時間ほど設ける方法(多くは12時間超)
- 隔日断食(alternate day fasting):ある日は摂取量を大きく減らし(例:必要量の25%程度)、次の日は「制限なく食べる」を繰り返す方法。あるいは24時間の断食と「制限なく食べる日」を交互に行う形も含まれます
- 断続的なエネルギー制限(intermittent energy restriction):期間の定義はやや幅がありますが、カロリー制限の期間と、普段どおり(または制限が小さい)期間を交互に行う方法
断続的断食と「自由に食べる場合」と「継続的なカロリー制限」を比較
この論文が集めたレビューでは、断続的断食の効果を確かめる際の比較対象として、主に次の2つが使われています。
- 制限なく食べる食事(普段どおりの制限しない食事)
- 継続的なカロリー制限(毎日1日を通して一定のカロリーを減らす方法)
この記事でも、断続的断食と上の2つとの比較を軸に整理していきます。
断続的断食の体重減少は、カロリー制限と同程度
断続的断食では、自由に食べる場合と比べると体重は減りやすい
この論文がまとめたシステマティックレビューでは、断続的断食は「制限なく食べる食事(普段どおりの食事)」と比べて、体重が減りやすいという結論がほぼ共通していました。介入期間は短いものから長いものまで幅があり、1〜104週間とばらつきがあります。
なお、あるレビューでは、開始時の体重に対して最大で約13%体重が減ったという報告も含まれていました。
対象者の多くはBMIが25以上(体格的に「やや太め以上」の範囲)で、断続的断食の開始時の体重が重いほど体重が落ちやすかった可能性に触れたレビューもあります。一方で、痩せ型〜標準体重の人や、代謝の面で問題がない人を対象にしたレビューでは、体重があまり変わらなかったとするものもあり、誰でも同じように体重が落ちるとは言い切れないことが示されています。
断続的断食と毎日のカロリー制限と比べると、体重減少は同程度
毎日のカロリー制限と比べた場合、断続的断食の体重減少は「同程度」とするレビューが中心でした。論文では、両者を比較したレビューが19本あり、その多くが「体重減少は同じくらい」とまとめています。
BMIについても、断続的断食とカロリー制限を比べて「はっきりした差は見つからない」としたレビューが複数あり、少なくともこの論文では、減量については断続的断食とカロリー制限は同程度の効果という位置づけになります。
断続的断食の体脂肪への影響は、自由に食べるより減りやすく、カロリー制限に対しては同程度からやや減りやすい可能性
断続的断食と自由に食べる場合を比べると、体脂肪量は減りやすい
この論文が集めたレビューでは、体重だけでなく体組成(体脂肪など)も評価対象に含めています。体脂肪は、脂肪量(kg)や、体重に占める脂肪の割合(%)として扱われています。
断続的断食と「制限なく食べる食事」を比べた場合、脂肪量については一定の傾向が見られました。
具体的には、13本のレビューで断続的断食によって脂肪量が有意に減ったとされ、その減少幅は0.46〜3.24kgの範囲でした。
一方で、統計的にははっきりしない(有意差が出ない)とした分析や、結論を出しにくいとしたレビューもあります。ただし、この論文の整理では「断続的断食で脂肪量が増えた」とするレビューは見当たりませんでした。
断続的断食とカロリー制限を比べると、体脂肪の減少は「同程度」が多いが、最近の分析では上回った可能性も
断続的断食と毎日のカロリー制限と比べると、脂肪量の減り方は「同程度」とまとめたレビューが複数あります(9本のレビューが同程度と報告)。
その一方で、介入研究を統計的にまとめた分析(メタ分析)では、断続的断食のほうが脂肪量がより減った可能性を示したものもあります(特に隔日断食中心の分析)。具体的には3本のメタ分析において、断続的断食とカロリー制限を比較して、脂肪量の変化について平均差として−0.66〜−3.31kgの範囲を報告しています。
ここまでを踏まえると、断続的断食を通じて体脂肪は「自由に食べる場合」より減りやすい傾向があり、カロリー制限との比較では差が小さいことが多いものの、最近の分析では断続的断食でより脂肪が落ちやすい可能性もある、ということになります。
体重・体脂肪以外(血糖・脂質など)では、はっきりした差が見られなかった
この論文では、血糖(空腹時血糖やHbA1cなど)やインスリン関連の指標は、断続的断食の方が改善したとするレビューもあれば、変わらないとするレビューもあり、結論がそろいませんでした。また、毎日のカロリー制限と比べると「大きな差は見つからない」とするレビューが中心です。
脂質(コレステロールや中性脂肪など)も同様で、良くなった・変わらないが混在しています。論文では、LDLコレステロールや中性脂肪が増えたとするレビューがあった点にも触れつつ、全体としては「断続的断食と毎日のカロリー制限で、はっきりした違いを言いにくい」とまとめています。
減量目的のカロリー制限が続けにくい場合は、断続的断食も選択肢にしてみては
この論文では、断続的断食の体重減少は「毎日のカロリー制限」と比べて同程度とするレビューが多く、大きな差はつきにくいとされています。一方で体脂肪(脂肪量など)に注目すると、最近のメタ分析では断続的断食がカロリー制限を上回った可能性に触れており、少なくとも「同程度から、条件によってはやや有利」な見方も残ります。
また論文は、毎日のカロリー制限は続けにくい場合があることを背景に、断続的断食が「代替の選択肢」になりうる点にも言及しています。続けやすさの違いによって、結果として断続的断食のほうが有利になる可能性があるという考え方です。
ただし、断続的断食はまだ研究の蓄積が十分とは言えず、特に6か月を超えるような長期でどうなるかまで踏み込んだ確かな結論は出しにくい、とこの論文は述べています。
それでも、毎日のカロリー制限が続かない、続けにくいと感じる人は、選択肢の一つとして断続的断食を試してみるのも良いかもしれません。
断続的断食の減量や健康への効果については、以下の記事でも詳しく解説しています。よろしければ、こちらも併せてご参照ください。











