血糖やインスリンなど「糖の指標」はどう変わる?
この論文では、断続的断食によって血糖やインスリンに関する指標に改善が見られたとする研究が複数紹介されています。
紹介されている研究を整理すると、見え方は大きく2つに分かれます。
隔日断食と修正版の隔日断食では、「空腹時血糖」が低下した報告があり、空腹時血糖の改善につながる可能性が示唆されています。
一方、時間制限食では、血糖そのものよりも「インスリンの働き」に関する指標の改善が示された報告があり、インスリンが働きやすい状態に近づく可能性が示唆されています。
血圧への影響は?
この論文では、断続的断食が血圧に与える影響についても人を対象とした研究の結果が紹介されており、断続的断食には、体重や脂肪の減少とあわせて、血圧の改善につながる可能性が示唆されています。
例として、修正版の隔日断食に関する研究において、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)が有意に低下した報告が紹介されています。
一方で、成人の肥満者を対象に、隔日断食と継続的なカロリー制限を12か月比較した試験では、血圧に有意な変化は見られなかったと報告されています。
このように、この論文が扱う研究は、方法(隔日断食、修正版の隔日断食、時間制限食)や期間、対象となる人の条件がそろっているわけではないため、断続的断食によって血圧が下がる可能性は示唆されているものの、その変化の大きさや起きやすさは研究によってまちまちになります。
続いては、脂質(コレステロールや中性脂肪など)が人の研究でどう報告されているかを整理します。
脂質(コレステロールや中性脂肪)への影響は?
隔日断食では、12週間で中性脂肪が下がった研究がある
肥満の成人を対象に、隔日断食(断食日は食事量を大きく減らす)を12週間行った研究では、中性脂肪が低下したことが取り上げられています。
この研究ではあわせて、食欲に関わるホルモンの一つであるレプチンや、体内の炎症の目安として使われるCRPが低下し、脂肪組織から分泌される物質の一つであるアディポネクチンが上昇したとまとめられています。
隔日断食を10週間続けた研究では、LDL(悪玉)コレステロールが低下
肥満の成人を対象にした研究では、最初の2週間は通常どおりの生活を確認し、その後に隔日断食を行い、さらに最後の期間は「隔日断食を続けるかどうかを本人が選ぶ」形で追跡されています。この論文では、この流れを合わせて10週間の臨床研究として整理しています。
この研究では、LDL(悪玉)コレステロールが低下した一方で、HDL(善玉)コレステロールと中性脂肪には変化が見られなかったとまとめられています。
修正版の隔日断食では、10週間でLDL(悪玉)コレステロールと中性脂肪が下がった試験がある
修正版の隔日断食(週に数日、食事量を大きく減らす日を作るタイプ)については、肥満の女性を対象に10週間行った研究が紹介されています。
食事内容を「脂質が多い条件」と「脂質が少ない条件」に分けたうえで、どちらの条件でも、LDL(悪玉)コレステロールと中性脂肪が低下し、HDL(善玉)コレステロールは変化が見られなかったと整理されています。
「月5日断食×3か月」で総コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールが低下
断続的断食に近い枠組みとして、5日間連続で「断食に近い食事」を行い、それを毎月繰り返す研究も紹介されています。
健康な人を対象に3か月続けた研究では、総コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールが低下し、HDL(善玉)コレステロールも低下、中性脂肪は変化が見られなかったとまとめられています。
時間制限食は、やり方によってはLDL(悪玉)コレステロールやHDL(善玉)コレステロールが上昇した試験も
時間制限食の研究として、健康な成人で「1日1食(夕方〜夜の時間帯)」を8週間行った試験が取り上げられており、この試験では総コレステロールやLDL(悪玉)、HDL(善玉)が低下ではなく上昇したということが報告されています。
時間制限食は「食べる時間帯」や「食事回数」も含めて設計が変わるため、同じ時間制限でも脂質に対する影響が変わりうるということが読み取れます。
人の研究から見えた、断続的断食のポイント
今回取り上げた、人を対象とした研究を中心に整理した論文から読み取れるのは、断続的断食は一つのやり方ではなく、隔日断食、修正版の隔日断食、時間制限食といった複数の方法があり、それぞれで異なる効果が生じうるという点です。
体重と脂肪については、3つの方法いずれでも減少が報告されており、断続的断食を考える人にとって最も実感しやすい変化になりうることが示唆されます。
糖の指標については、隔日断食や修正版の隔日断食で空腹時血糖が改善した研究があり、時間制限食ではインスリンの働きに関する指標の改善が報告された研究があります。血圧についても、低下が報告された研究があり、体重や脂肪の変化とあわせて良い影響が示唆されます。
脂質(コレステロールや中性脂肪)については、やり方によって、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が低下した研究がある一方で、時間制限食の一部のやり方では上昇した方向で整理されている研究もあります。断続的断食は同じ名前でも設計が幅広いため、脂質の変化は「どの方法で、どのように行うか」によって見え方が変わりうることが、この論文から読み取れます。
断続的断食を取り入れてみようと考えている方は、期待したい効果にあわせてこの論文の内容を参考にしてみても良いかもしれません。
なお、断続的断食がもたらす健康効果については以下の記事でも詳しく紹介していますので、ぜひこちらもあわせてご参照ください。
研究からひも解く、断続的断食(インターミッテントファスティング)の健康効果
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