体脂肪を落とすとき、私たちはつい「脂肪が燃えてエネルギーになり、消えていく」とイメージしがちです。でも、体重から減った「質量」はどこかへ消えるのではなく、体の外へ出ていかなければつじつまが合いません。
今回参照する論文は、脂肪が減るときに体内で起きている反応を、できるだけ直感的に理解できる形で説明しています。ポイントは、脂肪は体内で酸素と反応して分解され、最終的に二酸化炭素(CO2)と水になること、そしてそのうち減った分の質量の多くは二酸化炭素として吐く息から体外へ出ていくという点です。
Why is it so hard to lose fat? Because it has to get out through your nose! An exercise physiology laboratory on oxygen consumption, metabolism, and weight loss
(American Physiological Society:米国生理学会掲載論文)
さらにこの論文では、運動による減量ペースの現実感にも触れています。平均的な体格・体力の人が体脂肪を10ポンド(約4.5kg)分減らすには、運動だけで60時間以上が必要になりうるという試算が示されており、運動だけでは短期間に大きく痩せるのが難しい理由を考えるヒントになります。
この記事では、この論文が示す「体脂肪はどこへ行くのか」という素朴だけれど重要な疑問を軸に、体脂肪が減る仕組みと、ダイエットや減量の戦略を立てるうえで押さえておきたいポイントを、できるだけ短くわかりやすく整理して解説します。
分解された体脂肪の大半は、吐く息(CO2)として外へ出る
体内の脂肪が分解される過程では、酸素が使われ、二酸化炭素と水が生じます。生じた二酸化炭素は血液で肺へ運ばれ、呼気として体の外へ出ていきます。つまり、体脂肪の炭素を中心とした部分が二酸化炭素に変わり、呼吸を通じて体外へ出ることで結果として体重が減る、ということです。
ここで大事なのは、呼吸を意識して増やせば痩せるという意味ではないことです。脂肪が分解されてはじめて二酸化炭素として排出されるので、呼気は脂肪を燃やすための方法ではなく、分解の結果としての出口にすぎません。
運動だけで体脂肪を落とすのが難しい理由
ダイエットや減量の話になると、「まずは運動」と考える人は少なくありません。論文でも、調査によっては30〜90%以上の人が、食事よりも運動を効果的な減量戦略だと捉えていることが紹介されています。
この論文が興味深いのは、そうした見方が広がる背景として、「脂肪が減ったときに、その分の重さが最終的にどこへ出ていくのか」が十分に理解されていない可能性を挙げている点です。医療・健康分野の専門家150人を対象にした調査でも、この問いに正しく答えられた人は1割未満で、家庭医50人では正答が0人だったと報告されています。
「失われた脂肪のほとんどは、呼気として口と鼻から出ていく」ということがわかるようになると、何kgもの脂肪を運動だけで減らすというのが簡単ではないことがイメージできるようになるでしょう。
そしてもう1つのポイントが、運動で消費できるエネルギーは、体が行った仕事量(体を動かして距離を進むなど)に応じて増えるという基本です。適切な運動は健康に良い一方で、現実の生活の中で積み上げられる仕事量には限界があり、結果として「運動だけで短期間に大きく脂肪を落とす」のは簡単ではないという見方につながります。
ダイエットには、運動だけでなく食事も含めた戦略を
この論文が強調しているのは、運動を否定することではなく、「脂肪は分解され、質量としては主にCO2(吐く息)と水として体外へ出る」という事実と、そこから見えてくる「運動だけで大きく減量するのは現実的に簡単ではない」という点です。
こうした、体脂肪が減るときの体内での反応や体外へ出ていく流れまで含めて理解しておくと、運動だけでなく、むしろ摂取カロリーのコントロールを中心に据えるという減量方法の有用性がより際立つといえるでしょう。
ダイエットや減量を進めるうえでは「運動を頑張る」だけで完結させず、食事や日々の活動量も含めて、続けられる形で全体を設計することが非常に重要となる点を再認識するきっかけとなれば幸いです。











